離婚日記~夫婦を続けるためには

50代女子。離婚を決めました。どんなふうになっていくのかわからないから・・その道のりを綴ってみようと思います。

息子の反撃

娘の話に俺様が反論する。

「そんなこと、あったか?お父さん、怒ったことなんかないだろう」

比較的娘には優しい口調。

俺様のこれは嘘のない言葉だ。

覚えちゃいない。

自分の言動によって、人を傷つけることも寂しい思いをさせることも、喜ばせることも愉しませることも、何も気にしちゃいない。

全て自分の気持ちや自分なりの常識が優先であり、正しいこと。

これは家族に限ったことではなく、友達であったり、仕事仲間であったりしても同じ。

俺様には自分を売るための思いやりに似たアピールが人一倍あり、はじめはそれでみな騙される。

騙されて、この人は優しい人だと寄りかかってしまったら大変。

いずれ突き飛ばされる羽目になる。

ひとったらしという。

子どもたちにもそうだ。

理解のある、優しい父親ヅラをしているが、掘り下げていくと豹変する。

子どもたちも長年付き合ってきて、それがわかっている。

息子が高校生の時に私に言った。

「お父さんって、好きになると損するタイプだよね・・」

うん、その通り。

しばらく何事もなく、これはいいぞって思っていると、あっという間に手のひらを返される。

だから子どもたちも、深い話は父親とは一切しないし、今やちょっとした報告さえも自分たちからすることはない。

 

娘にとって父親とはやはり最初の異性であり、成長後男性を見る指針にもなっている気がする。

その点において、娘は不幸だったと言わざるを得ない。

理想の父親ってどんなだろうか。

となりの芝生は何とやらというが、例えば娘の同級生の父親にはとても子煩悩な人たちがいた。

仕事が徹夜明けだったにもかかわらず、学校の運動会やいろんな行事にいつも来ていた父親。

遊びに行った娘とも、率先して遊んでくれる父親。

彼らは決して奥さんに命令されているわけでも、子どもにせがまれているわけでもない。

自分から進んでそう動いている。

遊んでと頼んだら怒鳴られる子どもと、頼まなくてもめいっぱい遊んでもらえる子ども。

同じように育つわけがないと思う。

こういう境遇の差は大きい気がする。

これは俺様自身が育ってきた環境にも大いに関係している気がする。

そのことにはまたあとで触れてみたい。

 

娘が続けた。

「お父さんはなんでわからないの?みんな辛い思いをしてるのが」

首をかしげる俺様。

「俺にはわかんねえ」

お決まりの文句。

いつも「わからない」で押し通す。

バカだからなのか。

そうあざけ笑っていると、本題をすり替えてくるから用心用心・・

「わからないってさあ・・毎日ひと言もしゃべらずにブスッとしてここにいてさ、どれだけみんながいやな思いをしてるかって、それもわかんないの?」

わかんねえの決まり文句に反応して、私がつい口をはさむ。

「しかたねえだろ、嫌な奴がいるんだから」私のことだ。

「子どもたちにだってそれぞれ、いろんな嫌なことがあったり、腹の立つこともあったりするだろうけど、それでもお父さんみたいに自分勝手にブス~っとしてなんかいないよ。みんな我慢して、普通に暮らしてるんだよ。自分の感情ばっかり出してたら、家だって会社だって、ひとりのせいでちっともいい場所じゃなくなる。それがわからないなんて、ただのお子ちゃまじゃん!恥ずかしくないの?」

俺様は黙っていた。

 「お父さんは自分がひどいことを言っても気づかない。自分の感情だけ。お兄ちゃんが高校受験の時に、お風呂から出たあと歌を歌ってたら、歌ってるんじゃねえって怒鳴って・・お父さんさ、お前の声は生理的に受け付けないんだよってお兄ちゃんに言ったんだよ」

娘が息子のことも話し出す。

同性のせいなのか、俺様は息子には娘より冷たい言動をする時がある。

娘が小学2年生の時に目の手術をしたのだが、その時もひどい言葉を浴びせた。

娘の手術自体は大がかりなものではなく、2泊3日の入院。

でも全身麻酔だったので親としてはとても心配だった。

私が娘に付き添い、息子は俺様が面倒をみてくれる予定だったのだが、なんと前日になって近い親戚に事故による不幸があった。

俺様はパニックのように慌て、それだけで頭がいっぱいになったようで、息子のことはそっちのけになった。

その親戚のことで手いっぱいだから、息子は自分の親にあずけるという。

ちょっと待って。

数年、ほとんど会ったこともない親、しかもあの親にあずけるつもり?

俺様の親とはいろいろあり、近くには住んでいたが、ほとんど行き来がなかった。

「え、だって全然会っていないんだから、あずけたらお互いかわいそうだよ・・」

息子を思いやって私が言うと、そんなことを考えている余裕なんかない俺様が言い放った。

「しらねえよ!!てめえのガキだろ!それがいやなら、てめえがなんとかしろよ!」

息子は幸いにもこの言葉は忘れているようだ。

でも私はこの言葉を忘れない。

娘がディズニーで駄々をこねるのと、私が息子を思いやって困るんだというのと、俺様にとっては全く同レベルなんだと思う。

どの場合においても俺様の感情が優先される。

 

娘がその後も俺様を非難すると、俺様のトーンが少し変わってきた。

「じゃあ、俺に謝れっていうの?謝ってほしいわけ?」

イラっとしているのがわかった。

口々に責められて、そうですかと言うわけがない。

その時息子が、ぼそっと言い始める。

「俺がお父さんだったら、俺、死んでるなきっと。こんなふうに家族を悲しませて、家族に責められたらもう、生きてく自信ないし―」

かなりバカにしている言い方だった。

あちゃ・・息子ちょっとストレートに言い過ぎ。

もう少し警戒して言いなよ~

これでも母も娘も、抑えながら話してるんだからさ~

俺様がぴくっとしたのがわかった。