離婚日記~夫婦を続けるためには

50代女子。離婚を決めました。どんなふうになっていくのかわからないから・・その道のりを綴ってみようと思います。

名刺

俺様は女遊びはできないと思っていた。

めちゃくちゃイケメン、めちゃくちゃダンディー、めちゃくちゃ優しい、めちゃくちゃお金持ち―

既婚者の男には、そういった「プラスのなにか」がないと他の女性はリスクを背負ってまで寄りつかない。

俺様にはそんなものは無く、なにしろ自分が一番、自分が最優先で、自分が大好きだから、女性は寄り付かない。

ひとったらしだけど、長続きはしないし。

だからそんな心配はしたことがなかった。

そう、浮気はしない。

これまでもこれからも、する人ではない。

浮気をする男は、上に書いた「プラスのなにか」に、寂しがり屋であったり、甘えん坊であったり、過剰な欲があったりが付け加わる。

自分の気持ちや欲求に敏感であったり、相手の気持ちにも敏感に反応したり―

でも俺様は当てはまらない。

だから新しい恋をしたり、恋愛を楽しんだりなんてことは、今までもこれからもありえないと思っている。

でも!

風俗は別だった・・

これは今書き出したすべてのことに当てはまらない男でも、OKだった。

いや、これほど最適な男はいない。

小金を持っていて、その場限りの欲求が満たされて、面倒な感情に縛られることもない。

若くてかわいい女の子にお金を払って、精神的にも肉体的にも一定の時間、いい想いをさせてもらってあとはおしまい。

非常に合理的な快楽だ。

それを俺様は知ってしまった。

こうなってしまったことは、私にも少なからず責任がある。

私と俺様の間には、もう10年以上も前から夫婦の関係はない。

義父母と騒動があり、俺様が私の味方ではないと知った時から、夫としての信用が無くなった。

それからは肌が触れることも嫌になった。

書きたくはないが、一応性欲の処理だけは手伝ってはいた。

それも7~8年くらい前からぱたりと要求が無くなった。

その頃に俺様はこの合理的な快楽を覚えたのだろう。

まあこうして振り返ると、なるべくしてなったと言わざるを得ないが、発覚したときは相当なショックを覚えた。

 

5年前だった。

夕方、早い時間に俺様は帰宅していた。

畳んだ洗濯物を俺様の部屋に持って行った。

俺様はズボンを履きかえようとしていた。

洗濯物を置いた私は、俺様のズボンのポケットから何かが落ちたのを見て、それを拾い上げた。

キャバクラのお姉さんのエロチックな名刺だった。

「は~っ?」

私の第一声はこれだった。

「お父さん、こんなとこに行ってんだ~!」

俺様は少し驚いた顔をしたが、すぐに「付き合いだよ、付き合い!」と言って名刺を取り上げようとした。

「やだよ」と言って、私はそれを手にしたまま1階に下りて行った。

少しずつ、動揺がはじまったのがわかった。

降りた途端に、高校生だった息子が帰ってきた。

「おかえり~。ねえ、見てよ。お父さんのポケットから、こんなのが落っこちてきたんだけど~」

なるべくおちゃらけて言ってみせた。

追いかけるようにして階段を下りてきた俺様が、さっきのセリフをもう一度言う。

「付き合いだよ、付き合い!」

胸元を大きく開けた女の子がにっこり笑ってポーズしているその名刺を見た息子。

「は?お父さんもしょうがねえなあ・・」と半ばあきれ顔で行った。

言い訳をするように「仕事してりゃこんなこともあるんだよ・・」と俺様。

笑っちゃうよね~と、なぜかなるべく笑いに変えようとしている私。

動揺していた。

 

この名刺事件がきっかけになって、俺様と私の間には完全な溝ができたと言える。

今から思えば、ここで止めておくべきだった。

でも私はまだあの時、俺様との生活にわずかな希望を持っていたんだろう。

だからその翌日に、開けてはいけないパンドラの箱を開けてしまったんだ・・

 

■私からのひと言■

信じていれば見なくてもいいものは見えない。信じていないと、見たくもないものが見えてくる・・