離婚日記~夫婦を続けるためには

50代女子。離婚を決めました。どんなふうになっていくのかわからないから・・その道のりを綴ってみようと思います。

時間の力

時間というのはすごい力を持っている。

どんなに苦しんでも、そんなに悲しんでも、一生忘れないと思ったことでも、その大きさや形をいつの間にか変えていく。

思いついたらすぐに行動してしまう私だが、極力動かないことのほうが幸せだと、50年かけて学んだ。

学んだけれどなかなか実行に移せないでいるが。

じっとしていれば、いつかみな通り過ぎていく。

ドアに指を挟んで、痛くてジンジンするけれど、泣きもわめきもしないでじっと痛みに耐えていれば、いつかはうすれていくのと同じで。

ただただ、待つ。

 

 

俺様のバックから出てきたカードは、風俗店の会員証だった。

パソコンの画面に映し出された画像は、若い女の子とサングラスをかけた男性が、いろんな形で絡み合い、交わっているもので、見るに堪えなかった。

実際吐き気を覚えた。

俺様はこんなことを私の知らないところでやっていたのか・・

子どもたちがリビングでゲームをしている声や音で、私の失いかけた理性がかろうじて留まっている。

動かないのがいちばんなのに、学習していなかった私は、すぐに行動に移す。

ゴルフ場にいる俺様に電話をかけ、終わり次第大至急帰って欲しいと告げた。

「なんで?」と聞く俺様に言った。

「バックの中の風俗の会員証、見ちゃったから」

俺様の驚いた声。「は?なんで俺のバックを見るんだよ!」

「そんなん、いいから!一刻も早く帰ってきて!」

何も言わせるつもりはなかった。

言えるはずがないのだから。

 

夕方になって、俺様が帰ってきた。

子どもたちにはちょっと買い物に出てくると言って、俺様の車に乗りこんだ。

こんな話を家でするわけにはいかない。

2~3分走って、通りの少ない道に車を停めた。

その間俺様は、「なんで俺のバックを見たんだ?」と繰り返していた。

その時はわからなかったが、俺様はこの話の悪者を私にしようと懸命になっていたんだろう。

自分は悪くない、謝りたくない、そのいつもの習性で。

バックを見たことを聞かれても、私にはそんなことはどうでもよかった。

「いつから?」

車を停めて、初めの質問はこれだったと思う。

それに対しての俺様の答えがどうだったか、実は覚えていない。

「いつから」「どのくらい」「なんで?」・・

そんなどうでもいい質問を俺様にぶつけた後、号泣した。

「こんな裏切りがあるのか!私が一体何をした?」

声をあげて泣きながら訴えた。

「どの店に行っても、最後までの行為はしていない。だから、それほど悪いことだとは思わなかった」と言われた。

覚えているのはその言葉だけ。

リアルに書きたくないが・・

「挿入」という形が無ければ、どんな行為をしていても、それは許されるものだという主張。

でも女にとっては、そういう行為をしていること自体が許せないことで、最後までしてようがしてまいが、そんなことはどうでもいいことだ。

パソコンの画面を見てから、いやいやその前に、俺様のバックを見ようと思い立った瞬間から、私は自分を失っていた。

そしてやっと、ひとしきり泣いて自分が少しだけ戻ってきた。

家に帰ろう。子どもたちの待つ家に・・

 

その日以来、私は情緒不安定になった。

ひとりになると、何度もいろんな風俗店のサイトを見ては泣いた。

ふたりになると責めた。

そんなある日、俺様が言った。

いつものように責める私に「俺も寂しかったんだ・・」と。

「お前は俺より何でもできるし、頭もいいし、過去には優秀な奴と付き合っていたし。だから俺のことはそんなに好きじゃないだろうと感じていた。俺はお前に愛されていなかった。だからつらい想いもしていた・・」

しんみりという俺様にハッとした。

そうだ、私が悪かったんだ・・

俺様は愛情を求めていたんだ・・

義両親のことがあって以来、俺様のことを嫌っていた。

俺様は口は悪いし、いやなこともたくさんあるけど、俺様なりに私のことを愛していてくれていた。

なのに私は、ちっとも大切にしていなかった・・

俺様はまんまと私にそう思わせることに成功した。

結局悪いのは俺じゃない、お前なんだよ・・

 

俺様のマジックにかかり、俺様を大事にしようと思い、行動に移したりもした。

普段座ったこともないソファーに座り、テレビを一緒に見たり。

手をつないでみたり。

でも風俗店の画像が頭をよぎると、俺様に対する嫌悪感がざっと押し寄せてくる。

そんな日々を送り、しばらくすると俺様のひとったらしの呪文に騙されていたことに気づく。

自分を悪者にしないために私を悪者にしていただけ。

私に愛情があるように見せかけて、私の愛情を利用しただけ。

そこに俺様の真心はなかった。

また俺様を恨んだ。

事件後半年以上たってから体を壊して、入院もした。

当時は原因がわからなかったが、今となってはこの精神的なショックが引き金になったとはっきり断言できる。

何処かを浮遊しているようなそうした日々が続き、少しずつ地に足をつけていった。

時間が誰も味方のいなかった私に寄り添ってくれた。

 

そして今。この時のことを何とも思っていない自分がいる。

許すとか許さないとか、辛いとか苦しいとか。

なんの感情もない。

不思議なくらい「無」だ。

それはきっと、私の中で俺様自体が「無」だからなんだと思う。

 

 

時間というのはすごい。

やっぱりこの言葉に尽きる・・

 

■私からのひと言■

時間は必ず何かを変えてくれる。時間の力を信じることが自分を救ういちばんの近道。