離婚日記~夫婦を続けるためには

50代女子。離婚を決めました。どんなふうになっていくのかわからないから・・その道のりを綴ってみようと思います。

暗転

私は生来の甘えん坊。

子どもの頃から、父親に頭を撫でてもらうのが大好きで、父親が自分の男性像だった気がする。

そして、甘えられる、寄り掛かれる、何でも相談できる、そういう人だと勘違いして俺様と交際を始めた。

そういう人だと、ずっと騙されてきた。

人は何かが起きた時にはじめて本性を出す。

そう、何も起きなければいい人でいられる。

笑っていられる。

でもどんな人でも、忙しくなったり、自分に不利なことが起きたりすれば、眉をしかめてくる。

それでも人に優しくしていられるか、人を大切にしていられるかは、完全にその人の度量にかかっていると思う。

それがウツワというものなんじゃないかと思う。

結婚前の若かりし頃、俺様がこんなことを言った。

「今、同時に何個も悩みを抱えている。もともと悩むことなんてなかったのに、こんなのははじめてで、もうどうにも苦しくて仕方ない」

これを聞いたときに、「え?そういうもん?」と思った。

悩みを持つことなんて、私にはそんなに不思議なことじゃなかったから。

ていうか、悩みを持たずにいることのほうがすごい。

俺様は、深く考えることが嫌いで、悩むことが嫌いで。

自分の悩みの処理もままならないのに、家族の悩みなんてとんでもないことで、自分の中にとり入れることをできるだけ拒否して、共有しようとはしない。

だから話も続かない。

俺様はその人間性を、こうして若い頃から断片的に表出させてきた。

それをところどころに感じながらも、流してきてしまった私がいけなかった。

恋は盲目というけれど。

おそらく私は、自分とは違う人種の俺様に強く惹かれていたんだと思う。

あの頃に自分に戻って言いたい。

「それは本物じゃないんだよ・・」って。

 

2世帯住宅の改築費用は、親世帯と折半ということだった。

玄関のみが共有で、その他は生計も含めてすべて完全の2世帯。

子世帯の我が家は、僅かな貯金も投入して、ローンも組んで、晴れて息子が1歳の時に同居がはじまった。

子世帯は2階。

お風呂もキッチンも新設した。

義母は相変わらずニコニコしていて、いい人だった。

義父はほとんど会うことが無く、会っても会話もないので、それほど気持ちの負担にはならなかった。

ただ、家を建てて10年ほどなのに1階は異様に汚かった。

2階フロアはあまり使われていなかったのできれいなままだったが、1階部分については10年でこれほどまでに汚れるのか不思議なくらいだった。

以前の家がなぜあんなにボロ屋だったのか、納得ができる。

義父母というのは、家の管理についても、子育てについても、一貫して手を加えない人たちだった。

俺様は1度たりとも勉強しろとか言われたことがないと言う。

よく言えば放任主義

何もしないのだ。

子育ても、家の掃除も。

義父は夕方5時半には家に帰り、あとはベッドでずっと寝そべりながらテレビをひたすら見ている。

義母はパートに出ているがお遊び程度で、頻繁に近所やらどこかの友達やら親戚やらが家に遊びに来ていた。

いわば、家の中において自分らに何かを課すことのない人たちだった。

種をまいて、最低限の水は与えるけれど、肥料をやるわけでも温度管理をするわけでもなく、その成長を観察するわけでもない。

子育ても家の管理も、そういう主義だった。

ただ生活していく上では、接触しないようにすればよかったので、全体的には暮らしやすかった。

なにより、息子のかわいさに夢中だったので、私にとってその他のことはどうでもよかった。

同居を始めて2~3年程が、私の結婚生活において間違いなくいちばん平和で穏やかな時間だった。

幸せを感じていた。

 

その後娘も生まれ、同居を始めて5年ほどたったときにその幸せに暗雲がかかり始める。

義父の請負の仕事の契約が解除されるという。

義父は大手の企業の工場の中で、請負契約のもと、機械の営繕作業をしているひとり親方の職人だった。

歳をとってきたので、危険作業も伴うために、契約の更新ができないという通達だった。

家族会議が開かれた。

その夜のことは、よく覚えている。

汚らしい義父母の和室の、1年中設置されたままの炬燵に座った。

そこで驚愕の事実を聞かされる。

解雇の話までは聞いていたし、そのことでこの場が設けられてことも理解していた。

でも、彼らに貯金が1銭もないこと、あるのは家のローンだけだということ。

そしてなにより、そのうえ年金もなかったということ・・

愕然とした。

それで、こんなわけで、親父に収入が無くなったので生計を共にして頑張っていこうと言う俺様。

話についていけなかった。

義父母は好きなように過ごしている人たちで、家が汚なかったので裕福には見えなかったが、お金に困っているようにも思えなかった。

派手な生活は一切していないが、つつましやかに最低限に必要なものだけを取り入れて生活していた。

そんな彼らなのに・・

急転していく目の前の話に整理がつかないままに、それでもハッと気づいてしまった。

これを全部背負いこむの?

私たちが?

どーんと突き落とされた気分だった。

本当にこの言葉通りだった。

突き落とされてしまった。

幸せのお花畑から。

待って、待って、待って・・・

一生懸命に頭の中をフル回転させている自分がいた。

 ■私からのひと言■

平常でない時にはじめて、その人の本性が見えてくるもの・・